何かに名前をつけるというのは、とても強い力を持つのだなぁと思う。
以前読んだ某有名小説に、
「名をつけるというのは呪術の一つなのだ」というような事が書いてあったのを思い出す。
まだ名前を持たない「何か」があったとする。
名前を持たないものは不安を掻き立てるが、名前をつければ安心できる。
「よし、今まからこれは『ABC』と呼ぼう。これの名はABCだ。」
名前を付けられたことで「ABC」は「存在する資格」を得る。
「ABC」は名を得て「私はABCといいます。よろしく。」と挨拶し、周りも安心して受け入れる。
「そうか、これはABCというものなのだな、なるほど、うんうん。」
そしてABCが受け入れられて活動範囲が広がると、ABCは名を「ABC」から「ABCD」に変えることで活動範囲をさらに拡大する。
どんどん大きくなって「ABCDEFG」くらいになると、もう輪郭さえはっきりしなくなって、「誰もその実体が分からないけれど存在だけは大きな何か」になってしまう。
しかしよく分からなくても「ABCDEFG」という名があることで、存在が許されてしまう。
名があることによる安心感に疑問符など投げかけてはいけない。
それは不安を呼び起こしてしまうから。
本当にそうですか?
名前があれば安心ですか?
それは、本当は何なのですか?
名前には、注意した方がいいかもですね。