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ブリッピング・シフトダウン

バイクの話なんですが、今って
アクセルを軽く開けて
回転を合わせつつ
シフトダウンすること
リッピング・シフトダウン
て呼ぶんですね。
 
何か「技」っぽさ満点だし、Youtube等でも解説動画がいくつも出されているのだけれど、
勘違いしてる人が多くて驚きます。
 
曰く、
 
シフトダウンで回転合わせをするのは、
・コーナーの手前だけだ
・高回転を維持してコーナーに突っ込むためだ
・十分に減速せずにコーナーに突っ込むことになる
・ミスって回転を上げ過ぎたら急加速になって危ない
・見た目的にかっこいいかもしれないけど一般的な市街地走行では不必要だ
 
等々
 

 
だが待て、かなり違うぞ。
 
【前提知識】--------------------------------
まず前提としてバイクのシフトはクルマと違って
1↔N↔2↔3↔4↔5↔6
と各ギアを順次往復する仕組みになっていますね。
 
6速から3速に一発で入れることは出来ない。
必ず5速・4速を経由しないと3速には入れられない。
 
そして、クラッチを切ったまま、足元のシフトレバーだけで
6→5→4→3速
のように確実にシフトチェンジ出来るとは限らない。
 
何故か?
 
バイクのシフト機構にある「ドッグクラッチの特性で、
クラッチを切ったままの何速分ものシフトダウン
失敗する場合があります。
 
細かなメカニズム解説をここでする気はありません。
各自で調べて下さいね。
 
 
一気に6速から何速も落とすのが出来ない場合がある(ていうか多い)ということは、確実にシフトダウンするためには、
1速ずつシフトダウンの操作を繰り返す必要がある
ということです。
 
そしてギアシフトするということは、エンジン回転と走行速度(後輪の回転数)との組み合わせ(ギア比)が変わるわけで、何もせずにシフトダウンすると変速ショックが発生します。
※速度が同じ状態でシフトダウンすると、より高いエンジン回転数が必要となる=エンジンブレーキがかかる
 
このギア比は、一般的に6速より5速、5速より4速という風に低いギアほどギア比の差が大きくなります。
 
つまり
・何速もシフトダウンすると何度もショックが来る
・ギアが低くなるほどショックが大きくなる。
ということ。
 
うっかりエンジン回転数が高い状態で3速→2速にそのままシフトダウンなんてやると、
エンジンブレーキで後輪がロック→スリップ!
という可能性もあります。
 
ここまでが前提知識。
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では、これらの構造的な特性を頭に置いた上で、
さっきの話を振り返ってみます。
 
 
 
シフトダウンで回転合わせをするのは、
・コーナーの手前だけだ
 
違います。
「速度を落とした後、普通に加速出来る状態を維持したい時」
の全部です。
例)
何かの理由で前を走るクルマが減速しました。
※信号で止まるわけではないです
 他のクルマの合流とか、普通にありますね
あなたも減速します。
6速50km/hから15km/hまで減速。
前のクルマが速度を上げました。
さて6速15km/hからでは加速出来ません。
クラッチを切って、6→2速までシフトダウンしよう。」
(カチャカチャ、、、あれ?下がらないぞ?)
(ガシガシ!下がれよ!(低速のままオロオロ))
→後続車にクラクション鳴らされる・抜かれる
 
これ危ないでしょ?
 
1速ずつ確実にシフトダウンするために
適切な回転合わせを併用したシフトダウンが有効になります。
 
回転合わせはコーナーの手前だけで使うものじゃないんですよ。
 
 
 
・高回転を維持してコーナーに突っ込むためだ
 
違います。
目的は上記のようにコーナーだけではありません。
高回転の場合もありますが、
「その状況で必要となるエンジン回転数を維持するため」
なので3000rpm程度の場合も普通にあります。
つまり最低限必要な回転数を維持するということ。
交差点の左折等で減速/徐行した後、
6速のままじゃ再加速出来ないでしょ?
 
 
 
・十分に減速せずにコーナーに突っ込むことになる
 
違います。
減速してないならエンジンの回転数は下がりませんから、シフトダウンも要りません。
しっかり減速するからこそエンジン回転数は下がります。
その回転数が下がりすぎると再加速出来ずに失速してしまうので、シフトダウンするだけです。
 
 
 
・ミスって回転を上げ過ぎたら急加速になって危ない
 
違います。
リッピングで回転を上げ過ぎた状態でギアを繋いでも、一瞬カン!と衝撃が来るだけで、そのまま加速なんてしません。
アクセル全開にしたままでシフトダウンすれば急加速しますが
減速時にそれは普通やらないでしょ?
 
 
 
・見た目的にかっこいいかもしれないけど一般的な市街地走行では不必要だ
 
見た目がかっこいいのかどうかは知りません。
しかしです。
市街地では信号で止まる以外、速度は落とさないのですか?
-交通の流れとか無視ですか?
-クルマが駐車してて通りにくくても
-自転車がフラフラしてても
-歩行者が横断しようとしても
あなたは減速もせず同じスピードのままですか?
 
当たり前に減速するでしょ?
減速時に1速分のシフトダウンじゃ足りないことあるでしょ?
カチャカチャしてもシフト下がらないことあるでしょ?
だから確実なシフトダウンのために、回転合わせは有効なんです。
 
格好いいとかじゃなくて、
色んな状況が発生して
それに伴う速度変化も大きい市街地走行でこそ
早く確実なシフトダウンが必要になります。
そして確実なシフトダウンのために、回転合わせは有効なんです。
 
呼び名とかどうでもいいです。
より安全に走るためにも、普段使いのテクニックとして身につけた方がいいものだと思います。
 
 
 
【追記】
「じゃぁ何で教習所で教えないんだよ」
と言う人が出てきそうですが、
教習所が教えるのは必要最低限の技能だけです。
 
教習所で習うこと以外には
 よりスムーズに
 より確実に
 より安全に走るために有効なテクニックなど無い!
と言いますか?