写真界隈で話していると、
・レンズの色
・フィルムの色
等にこだわる人がけっこういらっしゃる。
このレンズで撮った写真の色がいいのだ。
このフィルムで撮った写真の色がいいのだ。
さて。
フィルムを使うカメラでカラー写真を撮る場合、
それが写真として出来上がるまでにはいくつもの処理が必要になります。
ザクっと書くとこんな感じ。
1.メーカー指定の手順でフィルムを現像する
2.フィルムを引き伸ばし機にセットして暗室で印画紙に露光する
3.露光された暗室で印画紙を現像/乾燥する
さて、この1から3の処理で、一般的に自分で出来るのはどれだろうと考えると、
どれも出来ないわけです。
「何を言うか、出来るぞ。
あーしてこーして云々すれば自宅でも出来るだろう。」
というお叱りもあるかもですが、
・薬品や各種の機器類(特に引き伸ばし機)を購入/保管/管理して
・暗室として使えるスペースを確保する
というのは
「一般的に誰でも手軽に出来る範疇」を超えている
と思うのですよ。
結果的に、これらの処理はいわゆる写真屋さんに頼むことになるわけですが、写真屋さんは沢山の注文を裁かなければならないので、これらの処理は機械で自動処理します。
お願いする時に、
「ちょっと濃い目の色にお願いします」
とかは出来ますが、
「空の部分の彩度を下げて、全体にブルーを強目にして、モデルの肩から下をアンダー目にしてください」
とかは注文できない。
要はほぼ自動処理に任せるしかない。
だからこそ、
レンズの色とかフィルムの色というのは大きな意味を持ったと思うのです。
でも今はデジタル処理が主流。
RAWデータをLightroomやCaputureOne等で処理すれば、
彩度も色味も明るさも全部自由になります。
もちろんカメラ毎(センサー毎)やレンズ毎の色特性というものは今もあるわけですが、フィルムに比べるとデジタルの方が自分で調整出来る範囲が遥かに広い。
自分の好みの色が
特殊な機器や環境を揃えなくても
誰にでも手軽に作れる。
素晴らしい。
ところが、です。
しかし、です。
これらの調整を自分でするには、それらに対する知識と理解が必要になる。
色温度?
ホワイトバランスって何?
色かぶり?
ハイライトとホワイトは何が違うの?
シャドーとブラックは何が違うの?
彩度と自然な彩度は何が違うの?
輝度ノイズとカラーノイズって?
等々、自分で理解しないと何も出来ない。
理解しないであれこれ触ると
迷子になって変な写真が出来上がる。
そう、全部「自責」。
間違っても、
これらのことが分からなくて
自分の求める色にたどり着けない言い訳に
このレンズで撮った写真の色がいいのだ。
このカメラで撮った写真の色がいいのだ。
と言って譲らないような状態にはハマらないようにしたいものです。
※そのカメラ特有のピクチャースタイルやアートフィルターと呼ばれるものは、特殊な処理を施しているものがあり再現が難しい場合もあります。そういうものはここでは除外して考えています。