フィルム写真が一部でブームらしいですね。
自分もフィルム世代なのでそれなりに経験値はあるのですが、最近の人は未経験だと思うので、ちょっとフィルムとデジタルの違いを表にしてみました。
最初に書いておきますが、
決してフィルムはダメという気はありません。
ただ、明らかに避けられない制約事項があるので、
始めるならそれを承知で
という意味のまとめです。
※それらを明言せずに勧める方も散見されるので
細かく見るとキリがないのですが
要は
コストと自由度の差
と言えるでしょう。
上の表を見てもらいたいのですが
フィルムは「撮る / 見る」にお金がかかります。
主にフィルム代、現像代、プリント代等ですね。
これらは避けられません。
そして特にフィルムが高騰しています。
36枚撮りフィルムが
1本当たり1,500~3,000円程度もします。
※これは2023/3/28時点のamazonの価格例です
そして
撮った写真はすぐに見れません。
フィルム1本を撮り切って
写真屋さんに出して
プリントが出来上がってきて初めて見れます
フィルム1本撮り切る前に見ることは出来ません。
フィルム代に続いて必要になるのが
現像代
キタムラさんの場合こんな感じです。
現像して、さらにデータ化してスマホに高画質転送したら、
フィルム1本(最大で36枚撮り)毎に
950円+1,980円=2,930円
が必要になります。
ここまでの費用
36枚撮りフィルム:安いもので1,500円程度・・・Aとする
フィルム現像だけ:950円・・・Bとする
フィルム現像+データ化してスマホに転送の場合:2,930円・・・Cとする
A+B=2,450円
A+C=4,430円
あくまで36枚分の価格です。
360枚撮ったら、この10倍です。
仮に10枚撮って、
どうしてもすぐ見たい!
となったら、そこでフィルムを巻き戻して写真屋さんに出す事になりますが、
残った撮ってない分のフィルムは廃棄です。
また、写真屋さんで出来上がったプリントを見て
もう少し明るめにしたいな
もっと色を濃いめにしたいな
と思っても、
基本的に自分では出来ません。
再度写真屋さんにプリントを頼むことになりますが
細かな明るさや色の指定は難しいでしょう。
写真を大きくしたい
と思った場合。
例えばキタムラさんの場合、こんな感じになります。
※フィルムから印画紙への引き伸ばしプリント代金です
デジタルデータからのプリンター出力とは異なる点に注意して下さい
それぞれのサイズ感は、こんな感じです。
※ブルーは比較のための23インチディスプレイです
ここまで見ていかがでしょう?
「デジタル一眼とか高いし、フィルムカメラの中古とか安いから大丈夫」
ですか?
まぁ、あまり写真自体は撮らなくて、カメラそのものをイジって楽しみたいなら問題ないかもですが、構図や露出を変えて何枚も撮りたいという人だと数百枚なんてあっという間ですから、相応の出費を覚悟する必要はあるでしょう。
次に自由度の話。
撮った後のことです。
デジタル写真だと、いわゆるRAW現像とかレタッチが簡単に出来ます。
しかしフィルム写真だとこれが難しい。
フィルム写真は、
1枚の写真を作るまでに
2回「露光(撮影)&現像」する必要があります。
1回目:被写体をカメラでフィルムに露光 → フィルムを現像
2回目:フィルムを引伸機で印画紙に露光 → 印画紙を現像
これで写真が出来上がります。
カラー写真の場合、基本的にこの2つは写真屋さん任せになります。
自分でも出来なくはないですが、薬品や引き伸ばし機や暗室を用意するのは、コストと場所と技術の習得が必要なので簡単ではないでしょう。
モノクロの場合はカラーよりは簡単ですが、それでも薬品や引き伸ばし機や暗室は必要になります。
印画紙への引き伸ばしをせずに、
フィルムからデジタルデータを作成する手もありますね。
その場合でも、出来上がるデータの画素数は
多くて1,000万画素程度です。
10年前の中古ミラーレス一眼でも1,200万~1,600万画素程度はありますよ。
さて、いかがでしょう?
目的が「メカニカルなフィルムカメラをいじりたい」なら、多分問題ないですね?
しかし「色んな写真を撮りたい」となると、制約が一気に増えます。
自分もいまだにフィルムカメラは持っています。
なので、その良さは知っています。
しかし、いざ「写真を撮る」となると
デジタルカメラの利便性は
比較にならないほど大きいのです。
どうかフィルムカメラを始める前に
自分がやりたい事は何なのか?
どのような制約があるのか?
を知った上で進むようにして下さい。
無責任に仲間を増やしたいだけの自称ベテランの誘いに
乗らないようにね。
ではでは。