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誤解 - RAW と JPEG について-

時々ですが、RAWとJPEGの違いについて誤解しているような記事を見かけるので、ちょっと整理してみます。

 

JPEG画像はグラデーションとかが汚い」

と思われている方は、是非ご一読下さい。

 

言うまでもなくRAWデータはカメラの撮像素子が取得した未圧縮のデータです。
色深度(RGB各色のビット数)も深く、多くの色を再現できます。

 

これに対してJPEG画像色深度を浅くして(=RGB各色のビット数を減らして)いますので、表示できる色数は減っていますし、「圧縮」というザックリ言うと間引き処理をしていますから画像のディティールも失われています。

 

「ほら、やはりJPEG画像は汚いじゃん」

 

まぁ、焦らずにお読み下さい。

 

 

 

では実際にRAW画像とJPEG画像を比較してみましょう。

 

まずサンプルに使うRAW画像。

なんせ未現像データなのでPCのスクショを貼り付けますね。

f:id:seki_albatross:20200505111049j:plain

 

これをJPEGに書き出した物がこちら。

f:id:seki_albatross:20200505111226j:plain

 

どうです?

Luminar4で現像していますが、全くそのまま未加工で書き出しています。

グラデーションに差が見られますか?

 

ではもう一枚。

同じようにLuminar4で現像していますが、1つだけ条件を変えています。

ご覧ください。

f:id:seki_albatross:20200505111436j:plain

 

空のグラデーションが、大変なことになってますね。

現像時の条件、何が違っているのでしょう?

 

答は「Export(書き出し)画質」です。

f:id:seki_albatross:20200505111609j:plain

一番下にある「画質」の設定を変えてます。

この画質設定はPhotoshopにも同じものがありますが、

要はJPEGの「圧縮率」を設定しています。

 

先ほどの2枚のJPEG画像。

1枚目は画質100で、2枚目は画質0でそれぞれ現像したものです。

その他の設定は全く同じ。

 

 ヒストグラムを比較してみましょう。

左からRAWデータ・画質100・画質0のヒストグラムです。

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左から RAW・JPEG画質100・JPEG画質0

RAWデータと画質100のJPEGデータのヒストグラムは、ほとんど同じ。

つまりパット見で認識できるような画質の差は無いということです。

※色深度に絶対的な差があるので、数値的にはもちろん差があります。 

そして画質0のヒストグラムは、まるで櫛のようになってしまっています。

「間引きされた結果」ということですね。

 

テストの際には、画質100・80・60・40・20・0 のそれぞれを書き出しているので、結果を一覧表にまとめてみました。

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見えるかな?

色深度(RGB各色のビット数)についての計算も記述しています。

ヒストグラムを見ていただくと分かるのですが、書き出し画質80まではヒストグラムの劣化が少なく、60以下になると一気に荒れてきます。

 

この100から0までの画像を貼っておくので、比較してみて下さい。

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左から 画質100・80・60
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左から 画質40・20・0


「現像」と言うか要は画像データの調整については、

ひどい白飛びや黒潰れからの画像のサルベージ(救出)とかでない限り、

少なくとも画質80以上で保存されたJPEG画像ならば

問題なく使える

ということです。

 

場合によっては、カメラが書き出したJPEG画像の方がカメラの画像エンジンによるノイズリダクション等が効いているので、高画質になっている場合もあります。

 

 

ちなみに、一般的なPCのディスプレイは

そもそも色深度24bit (8bitx3・JPEG画像の色深度)の色数までしか表示出来ません。

 

つまりRAWデータの持っている色深度48bit(16bitx3)の画像は

普通のディスプレイでは、表示出来ないんです。

 

一般的なPCのディスプレイでRAWデータを表示して

「やっぱRAWは綺麗やなぁ」

と感じられるのなら、次の点をご確認頂いた方がいいかと思います。

 

 

【要確認!】 

お手持ちのカメラで撮影/保存したJPEG画像が

「いまいち綺麗じゃないな」と感じられるなら、

カメラの画質設定を確認してみて下さい。

 

Super Fine とか Fine とか Normal とか、表現は機種によって違うでしょうが設定があるはずです。

!「ビビッド」とか「ナチュラル」とかの設定じゃないですから、間違えないで下さい。

 これがカメラ内RAW現像のJPEG書き出し品質を決めています。

これを最高品質に設定して下さい。

 

ガッツリ圧縮して書き出してたら、画質は落ちるに決まってます。

 

 

写真の色合いや色温度を調整するのに

RAWデータは必須ではありません。

低い圧縮率(=高画質)で保存されたJPEG画像なら

問題なく調整出来ます。

 

プロの写真家がRAWデータを必要とするのは、お客様からの要望として再現色数の多い(=色深度の深い)高画質印刷への対応等が必用なためです。

 

普通のディスプレイや普通のプリンターを使っている限り、

こういう必要性は生じません。

 

「現像(画像調整)するならRAWデータが必用!」

 ではないのです。

 

スマホで撮った写真も綺麗に画像調整出来ますよ。

やってみましょうね。

 

 

 

 ※追記

「画像調整はJPEGでOK!」とは言うものの、カメラ側で「アートフィルター」等と呼ばれる特殊効果が加えられているJPEG画像の場合は、(当たり前ですが)この限りではありません。

そういう場合にはRAWデータの保存は大事になりますね。