思ったことなど置いてみる

写真とか料理とかバイクとか

料理の写真で気をつけていること -色相環-

WebサイトとかYoutubeとかで

料理を美味しく見せる撮り方

みたいなのがあります。

 

・こんなお皿を使って

・こんな色のライトを使って

・こういう方向から照らすといいよ

的に、あれこれアドバイスがあるわけですが、

自宅の食卓とか

外食のお店とかで

そんなこと出来んやろ

と思うわけです。

 

で、

そこまでやらないにしても、

それなりに美味しそうに見える写真にしたい!

という時に自分がやってるレタッチの方法

ご紹介させて頂こうかと思います。

 

 

まず題材の写真がこちら。

 

これは長芋さんですね。

蛍光灯下の食卓で、iPhoneでポンと撮ったものです。

 

特に意図的な調整はしておらず、iPhoneがあれこれ自動調整してくれた結果のjpgです。

 

んー、いまいち美味しそうじゃない。

いったい何が起きているのか まとめてみます。

 

 

1.緑色が被っている

実は蛍光灯の光というのは、青味がかった緑色をしています。

iPhoneは頑張って直そうとしているのですが、今回は直しきれなかったようです。

そして食品に青や緑が被ると、いっきに不味そうになってしまいます。

 

2.影が濃く落ちている

食卓って、真上に明かりがあること多いですよね。

うちの食卓は真上に蛍光灯があるので、料理の真下に濃い影が落ちています。

 

.全体にちょっと暗い

机が明るめの木目で、皿も長芋も白っぽい。

こういう白っぽいものをカメラの自動露出は少し暗めに写してしまいます。

 

どうでしょう。

明るさ

お店でも明かりの種類によって光の色は偏りますし、

明かりは真上にありがちですし、

机や食器や料理の色でホワイトバランスや写る明るさも変わります。

 

ではレタッチでこの3つをコントロールして、

見た目に近い状態に修正してみたいと思います。

LightroomClassicの画面の一部を貼っていきます。

 

1.まず撮って出しのjpg。

出来るだけ一般的な状態で行いたいので、RAWデータは使いません。

この程度の調整であれば、よほど画質設定を落としていない限り(=高い圧縮率でない限り)jpg画像でも問題なく調整出来ます。

 

では見ていきましょう。

右側の調整項目は、全てニュートラルな状態です。

どうでしょう。

全体的に青味というか緑がかっているのが分かるでしょうか?

 


2.まず色を調整していきます

この時、必ず「色かぶり」と呼ばれる「グリーンマゼンタ」から調整して下さい。

色温度から調整を始めると、色の迷子になりがちです。

 

まず「色かぶり」の調整スライダーを大きく左右に動かしてみましょう。

左に動かすとグリーン寄りに、右に動かすとマゼンタ寄りになります。
ではスライダーを左右に動かす範囲を狭めながら、グリーンにもマゼンタにも寄らない場所を探しましょう。

写真内に白いものがあれば、それが白く見えるポイントを探すとやりやすいでしょう。

その時の光源によっては白が白にならない場合もありますが、とにかく出来るだけグリーンとマゼンタに寄らないポイントを探して下さい。

 

はい。

この写真の場合はスライダーをマゼンタ側に18ほど動かした位置が「いい感じ」でした。

とりあえずここではこれでOKにします。

※最後にまた調整するので。

 

 

3.次に影の調整です。

右のスライダーの

・ハイライトを下げ(左・マイナス)

・シャドウを上げてみます(右・プラス)

ここではとりあえず各々50下げ/上げてみます。

 

どうでしょう?

机やお皿の白っぽい部分が少し暗くなり、

中央の埋もれた暗い部分やお皿の下の影が明るくなりましたね。

※ある意味「メリハリ」が減りました。

 

この状態から、次に

・白レベルのスライダーを上げ

・黒レベルを下げてみます

すると影の部分があまり暗くならずに明暗のメリハリが増しました。

 

4.そして最後に明るさの調整と色の最終調整です

全体の明るさをお好みに調整してから、「色温度」を調整します。

ただし、明るさを変えると「グリーンマゼンタ」のバランスが違って見えてくる場合がありますから、

 

・まず明るさを調整

→「色かぶり」の「グリーンマゼンタ」の再調整で白を白に近づける

→「色温度」の「アンバーブルー」で白を確定する

→ 再度「色温度」で寒色系/暖色系をお好みの設定にする

 

という順序でアプローチしてみて下さい。

 

どうでしょう。

自分的には肉眼で見た感じに近づけることが出来ました。

 

【最初と最後の比較】

左が調整前、右が調整後。

大事なのは

電球っぽい温かい感じにする とか

少しブルーがかったクールな感じにする とか

そういう色の演出をする前に、

白を正しく白として調整しておく

ということです。

 

白を白にするというのは、

色バランスのスタート地点/ゼロポイントを見つける

ということです。

これが見つけられていれば、迷子にならずに自分の好みの色が作りやすくなります。

逆にスタート地点が見つかっていないのに、あれこれ演出すると迷子になってしまいます。

 

動画でいう

「カラーコレクティング(カラコレ)=色の調整統一」

「カラーグレーディング(カラグレ)=色の演出」

と考え方は同じです。

 

 

 

Point!
調整の裏側にある「考え方」

色相環

色彩の補色(反対色)関係を示したものです。

 

色温度アンバーブルー

    と

色かぶりグリーンマゼンタ

    は

この色相環上で直行した座標軸に相当します。

この2軸はちょうどX軸とY軸のように直行しているので、

理論的には全ての色から色への調整が可能というわけです。

 

もちろん現場の光源は様々で、さらに混在してたりもするので、

理屈通りにスッキリ行くとは限りません。

しかし基本概念として

色温度」「色かぶり」はこのような直行関係だ

と理解していると、

「分からなくなったら色相環で座標を確かめよう。」

という発想が得られます。

 

例えば、白いものが黄色っぽく写っていたなら

・まず色かぶり(横軸)を右に移動して黄色をオレンジにして

・その後色温度(縦軸)を上に移動してオレンジを白にする

と言う具合です。

 

当たり前に、これは料理だけでなく全ての色調整に使える考え方ですから、ぜひ活用してみて下さいね。